走ることについて語るときにLiuの語ること
第三部:グランドスラム、 遙かなる頂を目指して
・第1章   ・第2章   ・第3章   ・第4章   ・最終章
第二部:走ることの意味を知りたくて僕は走った
・第1章   ・第2章   ・第3章   ・第4章   ・第5章
第一部:走ることの楽しさを教えてくれた人達へ
・第1章   ・第2章   ・第3章   ・第4章   ・第5章
第一部 第2章 弱虫で負けず嫌いな僕

2007年11月18日。
東京国際女子マラソン、僕は生まれて初めて仲間が走るマラソンの応援に行った。
そして彼女たちの走り、完走後のあふれ出す笑顔と涙に感動する僕がそこにいた。
そんな空間に居合わさせてくれたSWACに感謝した。
そして1週間後の11月23日、僕は一人で横須賀のスタート地点に立っていた。



僕は負けず嫌いだ、そして弱虫だ。
だからいつも言い訳を探している。
弱い自分をさらに弱く装うことでハードルを低くして、それを飛んできた。
前回のレースは目標を1時間50分以内に設定した。
まぁ、それくらいの記録なら出す自信もあった。
実際に1時間45分30秒くらいでゴールした。
でも第1章でも書いたように思った程の達成感はなかった。
それは立てた目標が壁ではなくただのラインだったからだろう。
はじめから達成できるとわかっていて立てた目標。
それをただ確認したに過ぎなかった。

だから今回はあえて高い壁を設定してみた。
100分以内、これはSWAC入会時に書いたハーフマラソンでの目標でもある。
(その当時の僕はこれを最終目標においていた)
目標のためにはキロ4分44秒ペースで走り続けなければいけない。
練習でも走った事のないペースだ。
フラットなトラックでならまだしいも、ロードではアップダウンもあるし、風もある。
実際のところ自分でも無理だと思っていたし、周りもそう思っていただろう。
(何しろ僕のロード10キロのベストタイムは52分台だ。)
むしろ高すぎる壁だからこそ負けた時の言い訳になると考えたのかもしれない。
「やっぱり無理だったよ」と笑えるように。
僕は弱虫だから。



2007年11月23日8時45分。
スタートの号砲がなる。僕は一人走り始める。
入りの1キロは4分37秒、予定よりも速いが気持ちいい。
そして僕はそれより少し速いペースで最後まで走る事になる。
10キロ過ぎのアップダウンの連続に何度も歩きそうになる、立ち止まりそうになる。
でも1週間前に見た彼女達の走りを思い出した。
「ここで止まって僕はゴールした後に笑えるのか?」
弱虫な僕は初めてゴールまで走り続けた。
作り笑いではなく、心から笑えるように走り続けた。
給水の時も一度も止まることなく、歩くことなく走り続けた。
タイムは1時間36分30秒。
予想以上のタイムに僕は一人感動した。
前回味わえなかった達成感もあった。
レース後初めて「もう走りたくない」とは思わなかった。
(まぁ、すぐに走りたいとも思わなかったが・・・)
自分で言うのもなんだがよく頑張ったと思う。
まわりからもおめでとうと言われる。
素直にうれしかった。

高すぎると思っていた壁も越えてみればただの通過点に変わる。
振り返ってもそこに壁はなくなっている。
それでもほんの一瞬だが見ることの出来た壁の上からの景色。
その一瞬の景色に感動する自分。
その感動を僕は忘れないだろう。

そして新たなる壁が目の前に立ちはだかる。
前回より高い壁が。
その壁を越える為に、また走り続ける。
弱虫で負けず嫌いな僕は。




そろそろ言い訳を探すのは止めにしようかな。




そう言えば禁煙をしてからもうすぐ1年になる。
しまってあるカルティエのライターを捨てよう。

2007/11/27